ランニングの楽な呼吸法は?長距離で疲れないコツを解説
相棒のGarminに「君のVO2MAX、59ぐらいやで」と表示され、ご満悦続きの筆者です。ちなみにハイボール中毒で、体重が減りません。
今となっては「無意識に楽な呼吸」をすることに努めるようになっていますが、筆者も走りはじめの頃は「ランニングの楽な呼吸法」を探求し続けたものです。
まず結論から言えば、「ランニングの呼吸法」に決まった方法はないと思っています。
いわゆる「吐いて吐いて吸って」だとか「吸って吸って吐いて」だとか、定型的なものは無意味だとすら思っています。
ランニング、あるいはマラソン時、いかに楽な呼吸法を身につけることができるかは「息を吐く」という意識と「腹横筋の柔軟性」にありますよ。
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ランニング本にある「スースーハーハー」などは無意味!? 呼吸法に定型が意味ない理由
あくまでランニング歴10年ぐらいのおじさんの意見だったりしますが、定型的な呼吸法をしながらランニング(ジョギング)するのは、実はあまり意味はないというのが本音です。
“楽な呼吸法”といっても、最も重要なのが「リズム」だというのは、筆者自身も“それ”に気付くまで数年かかりました。
いわゆる初心者用の「ランニング本」や、ネット上の「初心者用口座」では、「吐いて吐いて吸って」や「スースーハーハー」の形を決めようとする内容が多いものです。
ただ、人によって走るピッチ・ストライドは個人差がありますよね。人によっては身長が平均より引く場合もありますし、足が長くてストライドが広いこともあります。
何が言いたいかというと、「ランニングの呼吸法」には“リズムが大切”なので、型にはめた呼吸法はあまり参考にならないということなんです。
ランニングで楽な呼吸法を身につけるには「息を吐く」という意識を大切に
長らく「呼吸」に意識をおいたことがありませんでしたが、近々「心臓破りの5km」が待っている身として、呼吸についていろいろと考えながらジョギングしていました。
筆者の場合、ペースランニングをし始めた頃から「呼吸は吐くことを意識したほうが楽」ということを覚え始めた記憶があります。
受け売りだったような覚えもありますが、「息を吐けば、自然に酸素を吸うことができる」というフレーズが目に留まり、それから心肺に負担をかけるときは「息を吐く」ということを意識しつづけました。
「呼吸」といえば、何もランニングにかぎったことではありません。日々、生活する上で「体内の二酸化炭素」を除去するために「空気中の酸素」を吸うようにできているわけです。
ただ、最近はストレス社会。デスクワークも多く、猫背の姿勢の人が多いからこそ「呼吸が浅い」という言葉もあります。
だからこそ「ランニング」でリフレッシュ効果を得ることができることが増えているわけですが、ランニングパフォーマンスにおいても“いかに息を吐くことができるか”という呼吸法を意識することは、健康上もランニングの記録上にも重要なことだったりします。
マラソンで「楽な呼吸」を左右する「腹横筋」の鍛え方
「ヤムナボール」は、呼吸法を身につけるのに最適です。
本来は数千円するヤムナボールですが、ググってみる「ピラティスボール」というものも存在するようです。
ただ筆者おすすめは、故障時やデスクワーク中もトレーニングで並用できるバランスボールでの「腹横筋の柔軟性を高める」ということ。
雑な切り抜きのバランスボールはさておき、腹横筋を柔軟にするには「丹田から上・肋骨より下の筋肉」をほぐしてあげると、呼吸もかなり楽になるんです。
腹筋にも細部に分けるといろいろな筋肉がありますが、“楽な呼吸法”を左右するのが「腹横筋」がうまく使えるかどうかなんです。
腕振りとストライドの伸ばし方では「腹斜筋」なども重要になってきますが、あくまで“楽な呼吸法”に重点を置けば、いかに腹横筋を使える呼吸&柔軟性を高めることができるかが大切。
というのも、ランナーにとって大切なのが「インナーマッスル」。野球選手やラグビー選手が「アウターマッスル」の強化が大切なのに対して、ランナーはインナーマッスルを鍛えることでパフォーマンスが上がることも証明されています。
そしていちばん大切なのが、腹横筋=呼吸筋とも言われるほど、呼吸を司る影響力の大きい筋肉群なんです。
筆者は前出の「ヤムナボール」でのエクササイズを欠かしていませんが、バランスボールでも「腹横筋を押し当てるように鼻で大きく呼吸し、口でゆっくり大きく息を吐く」というエクササイズが“楽な呼吸法”へのヒントにもなるんです。
「ランニングでの呼吸法に悩む」という人は、腹横筋を意識するのも一つの手と言えるでしょう。
肋骨を意識して大きな深呼吸を
『ヤムナボディローリングで筋肉より骨を和らげる』でも取り上げたように、実は「筋肉」と同等、もしかするとそれ以上に大事なのが「骨」ということを学んだわけですが、最近ポイント練習をしていて気付いたのが「腹横筋」なわけです。
腹横筋を鍛えるだけで、「呼吸」と「体のバランス」の連動が取りやすくなり、大きな深呼吸も可能に。
さらに“楽に走るため”には、「肋骨」をいかに上げることができるかも大事ですよ。
腹横筋に常に意識を置き、呼吸をしやすく「楽に走る」
ヤムナボールという謎(?)のボールを使ってインナーマッスルを刺激することを学んだのが、ちょうど1周間前。
日ごろ筋トレでは表層部の「腹直筋」など、外部からの刺激に耐えうる筋力を鍛えてしまいがちなんですが、ランナーにとって大事なのが「腹横筋」だということは前回もご紹介しました。
腹横筋を常に意識しておくことで、「深い呼吸」に耐えうるインナーマッスルの強化が可能で、フォームが乱れる前に“酸素を体内に取り入れる”ということが可能になるんです。
実際、12/10の午前に30km走をしても、「足の疲労」の前に、「酸欠状態」という初体験をした筆者。
いかに酸素を取り入れやすい体にできるかも、レベルアップには不可欠なんです。
腹横筋を常に意識+肋骨周囲で深呼吸をするようにする
有酸素運動とはいえ、フルマラソンの場合は30km以降は“いかに日ごろのパフォーマンスを発揮できるか”のスタートになります。
30kmまでは「省エネ走法」、そして残り12.195kmを最大のパフォーマンスを発揮するには“いかに酸素を吸えるか”が大事。
というのは、意識的に呼吸ができる状態にないと、確実にフォームは乱れていきます。
フォームが乱れると、腰も落ちて、骨盤も後傾していく、つまり足に大きな負荷がかかってしまうようになるんです。
“あえぐように”走っているランナーを見ていて、「大丈夫かな?」とレース中に思うことも多いんですが、トップランナーのゴール後、呼吸がいかに乱れているかはTV中継でもよく映りますよね。
実はあえぐように酸素を吸うのは、マラソンでは正解。
「呼吸をする」=「訓練が必要」ということにもなるわけなんです。そのためには、腹横筋を意識しつつ、深呼吸ができる部分=肺をいかにうまく活用できるかが大事になってきます。
肋骨までうまく深呼吸部分を押し上げることができると、肺の機能をフル活用できるわけですね。
格闘技でもある「コツカケ(骨掛け)」の意識に近い
格闘技漫画でもよく見かける「骨掛け」。金的をされたときに睾丸を守るために、腹筋を使って睾丸を腹筋下に置く技ですが、これってけっこう可能だったりするんです。
肩甲骨を使って首と脇を閉じる、肋骨を使って胸部を閉じる、恥骨を使って腹部を閉じる
格闘技では「金的」は禁止なことが多いですが、男性の弱点といえば「睾丸」。
実はこの睾丸を上げるという筋肉運動と腹横筋を肋骨周りに上げるというのは、似たような運動です。
インナーマッスルを胸部部分に押し上げ「深呼吸」することで、より肺が活用できます。
「ヤムナボール」とかけたわけじゃないですよ。
筋力が弱いと思っていた筆者ですが、それ以上に弱いのが体のパーツのそれぞれ。
たとえば、デスクワーク続きで丸まった背中下部の骨や筋肉は、凝り固まって全く機能していません。
もちろん、腕振りに大事な肩甲骨周りもガチガチ。これでは、スムーズなフォームづくりもできませんよね。
そもそも肩甲骨と骨盤の連動で「大きなストライド」を生み出すわけなので、フルマラソンなどの長丁場になると“楽に走れない”という状況でなければ、30kmの壁に木っ端微塵になってしまいがちです。
思ったように体が動かず、自分の体に驚いた反面、まだまだ可能性があることも知ることができました。
ランニングにおける横隔膜呼吸(腹式呼吸)とは?
あれほど意識してこなかった「サブスリー」のための練習を、昨年の秋から始めている筆者です。
筆者はそれほど「練習」が好きなほうではなく、長距離を走るのも飽きるので苦手。
「そんなヤツにサブスリーの資格はない!」
ごもっともです。ただ、効率よく記録を求めたいのは、やはり筆者自身が“考える事”がすきだから。
たとえば、サブスリーするために月間400km走るよりは、300km+効率のいい裏技で達成するほうが快感を覚えるタイプです。
そのサブスリーの裏技ですが、マスターすれば簡単、「横隔膜呼吸」です。
トップランナーに共通するのは「無駄のない呼吸法」
駅伝で活躍していようが、フルマラソンで活躍していようが、多くのランナーに共通するのが、無駄なく「呼吸」ができていること。
雑誌などでは、「呼吸の仕方」そのものしか載っていないことが多いですが、呼吸ってそんな単純なものではありません。
一昔前であれば、「吐いて、吐いて、吸って」など、あくまで“呼吸法”を「字面」にした表現しかできていない物が多かったんですが、呼吸法を身につけるには「鍛錬」が実は必要なんです。
「肺活量」という言葉がありますが、ポイント練習で「肺を鍛える」というのは、実は半分不正解だと筆者は考えます。
というのは、ランニングのパフォーマンスアップにおいて呼吸をするのは「肺」だけではないと考えるから。
上体がぶれず、脚への負担を減らすことができる呼吸法とは、ずばり「横隔膜呼吸」です。
横隔膜呼吸ってそもそも何なのか
金哲彦さんの本では「“丹田”を意識すること」ということがありますが、これは単純に上体のブレを抑えるだけということではありません。
これは、横隔膜呼吸をするためのスムーズな上体を保つため、という意味でもあるはずです。
筆者は猫背で肩も開いていないので、昔から“腰の落ちるフォーム”になりがちでした。
そんなときに、「じゃあ、呼吸法かな」と意識していたときに出会ったのが、ヤムナボディローリングとピラティス。
最近は行ってないのですが、簡単に言うと、無駄のないランニングフォームを作るには、正しい上体を作るために正しい横隔膜呼吸を身につけること、ということがランナーには大事。
では、横隔膜呼吸をするためにはどうすればいいのか、ぜひ試してみてほしいことがあります。
腰が落ちたフォームにならないためには「横隔膜呼吸」が大事
「腰が落ちたフォーム」というのは、長距離ランナーには“良くない”とされる傾向もあります。
ちなみに、松山大学女子駅伝部の高見澤安珠選手は、どちらかといえば腰が低くてピッチが速い選手。
駅伝や障害走ではピッチの速さが要求されますが、市民ランナーのフルマラソンという点では「腰が落ちたフォーム」はご法度。
できれば、「腰高フォーム」を目指していただきたいです。
この腰高フォームを作るのは、横隔膜呼吸にありです。
そもそも横隔膜は、腹筋のやや上部、胸骨の下部部分です。
腹式呼吸をするとき、お腹に呼吸を深くすると同時に、横隔膜の筋肉も使って深呼吸をすることが大事。
どのトップランナーにもいえることですが、脚の貯金がなくなって、上体の姿勢をたもつためには「腕振り」が大事です。
そして、いかに推進力を保つかは、体にいかに酸素を取り込めるかが重要。
そのためには、上体をブレさせない=スムーズな腕振り=適切な呼吸法で上体の姿勢を保つ、ということが大事なのです。
実はこの横隔膜呼吸、ポイント練習だけじゃなくて、普段のジョギングでも意識していただきたい部分です。
横隔膜呼吸ができると、自然に上体も高くなり、腰の位置のブレも少なくなります。
ウォーキングの際などにも、ぜひ意識して「横隔膜呼吸」を取り入れてみてください。
ランニングの楽な呼吸法まとめ
筆者も走り始めは「呼吸法」だけにこだわっていました。
「吸って吸って吐く」だとか「吸って吐く吐く」だとかは、いずれ続かないようになるものです。
なぜなら、ランニングにおいて「頭で思考すること」はエネルギーを使うことにもなり、無駄が増えることになるからです。
慣れることができれば、ランニングにおいての「楽な呼吸法」は自然と身についてきます。
その近道には、今回ご紹介した「息を吐くことを意識」と「腹横筋の柔軟性を高める」ということは、知っておいて損はありません。
ただ、バランスボールやヤムナボール、ピラティスボールを使う際は「肋上部」までに負担がいかないように配慮してくださいね。