ランニングのLSD(Long Slow Distance)とは?トレーニング効果とやり方を徹底解説
ダイエットのためにジョギングをしている人もいれば、目標タイムのために練習をしているランナーもいますよね。
サブ4~サブ3.5で伸び悩んでいるランナーの多くが、実は「ゆっくり走ること」ができていない場合が多いんです。
特に、筆者も全否定していた「Long Slow Distance」ことLSDの練習は、サブ3.5を目指しているランナーほど取り入れて欲しいトレーニングなのは「減量効果」にもありますよ。
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ランニングのLSDとは?
雑誌やネットで最近、「LSD懐疑論」がよく見られます。
実は筆者、LSDということに意味が見い出せずに、未だにゆっくり長く走るということが苦手です。
そもそも、“わざとゆっくり走る”ということで、「毛細血管が広がる」であるとか、「遅筋がつく」というのは“科学的には”証明されていないようなんですね。
ただし、LSDもとい、“ゆっくり長く走る”ということは必ず必要になってくることだと、自分にも叱咤している毎日。
しかしながら、雑誌や見聞録をもとに「LSDは必ず必要だ」には懐疑的です。
ほんとうの「LSDの意味」、意識して走っている方は何割いるんでしょうか?
実際、ジョグノートでたまたま見かけた方の練習内容に「LSDメイン」という方がおられました。
驚くことに、ペースはキロ11分ほど。歩くより遅いペースとは、このことでしょう。
その方のフルマラソンのPB(パーソナルベスト)を見て、さらに驚き。
2時間45分50秒。
筆者には一生かかっても不可能なタイムを、LSDメインで叩き出していたことに驚愕した記憶が、鮮明に残っています。
そもそもLSDとは御存知の通り、「Long Slow Distance」の略で、Wikipedia先生曰く、下記のとおり。
Long Slow Distance(ロング・スロー・ディスタンス、LSD)は、ランニングやサイクリングにおいて有酸素持久力トレーニングの1形態を指す。
LSDトレーニングにより、循環器系の機能、体温調節の機能、ミトコンドリアのエネルギー生産能力の向上、骨格筋の酸化容量の増加、燃料として脂肪を利用する割合の増加といった身体機能への影響がある。
ドイツの医師でコーチでもあるエルンスト・ファン・アーケン(英語版)は、一般的に持久力トレーニングの方法としてLSDを確立した第一人者と目されている。
脚づくり以外にも、循環器系の機能向上により、“長時間動くことができる体づくり”がLSDのメインといってもいいでしょう。
ただ、LSDをする前にしておいたほうがいいのが、フォーム作りと、心肺機能そのものの底上げ。
多くのベテランランナーが“長距離は強いが、駅伝は苦手”というのには、「正しい呼吸法」が身についていない傾向があるんです。
なので、LSDで“動ける体づくり”ができても、サブスリーのようなスピード持久力が求められるレベルに至るまでは苦労される方も多いはず。
もちろん、もともと心肺機能が先天的に優れている方は別でしょう。
昨今の「LSD不要論」を見ていると、ある違和感を覚えます。
それが、LSDをやる意味がない=スピードトレーニングにこだわるべきという一極論。
これ、かなりジレンマが発生する命題でもあるんですが、「LSDをやる意味がない≠スピードトレーニングさえすれば速くなる」ではないのが、なかなか奥深いところでもあるんです。
LSDトレーニングの効果って?
比較的、若いランナーに多いのが、「スピードで押していく」というタイプ。
反して、ベテランランナーに多いのが、「ロングジョグで培ったスタミナを活かすフルマラソンの走り」でしょう。
基本、練習よりも「無駄のない走り」を意識する筆者にとっては、「御託はいいから、さっさと走ってこい💢」とでも言われそうですが、時は金なり。
効率の良さも絶対にレベルアップには必要なはずです。
その効率の良さは、実は正しい体の使い方を身につけること。
たとえば、せっかくスピードトレーニングをしていても、心肺をフル稼働できずに足が死んでしまうフォームだと、故障を誘発するドMプレイにもなりかねません。
あるいは、何も考えずにひたすらLSDをするというのも、人生の大事な時間や家族との時間を削っていることにもなります。
もちろん、“走ることが好き”、これがランナーにとっての「原点」なんでしょうが、楽しく確実にレベルアップするには、ある程度の制約も出てきます。
生活の過半数をランニングに充てることができるランナーこそ「強いランナー」になりえますが、全員が全員“そう”とはいきません。
なので、LSDをする意味を見出すときには大事にしておいたほうがいいこともあります。
- 1km全力で走ったときのフォームと全く一緒のフォームでLSDできているか
- 音楽は聴かない
- 常に全神経を自分の体に向ける
- 骨盤を立たせる(お尻を上げる)
- 胸を開く(猫背にならない)
- 内転筋から足を振り出す
- 肘の角度と肩の脱力に注意
- 肩甲骨と骨盤がLSDでも連動している
このようなことを実践できてこそ「LSDの本当の走り方」ができている意味といえ、他にも自分の弱点と向き合ってゆっくり長く走る練習こそ、“本当のLSDの意味”ともいえるのでは?
残念ながら、御託ばかりの筆者はLSDが大の苦手です。
つまり、本当にLSDを正しく実践できているランナーこそ、“強いランナー”であり、“速いランナー”ともいえるんでしょう。
最近の「LSD不要論」には、ありきたりな「即席論」や「バイアス」が浅く語られることが多いように感じます。
というより、市民ランナー向けというよりも、実業ランナーのようなハイレベルのランナーを例とした「不要論」が語られることが多いと感じています。
筆者がいつまでも遅いのは、きちんとした“本当のLSD”ができていないから。
真に強いランナーになるには、「LSDの意味」を考える力もあるということかもしれませんね。
たまには筆者も、自分の弱さに勝たねばならないのかもしれません。
LSDの練習はとにかく痩せる!減量効果が抜群な理由
「LSDをしたら、走るペースが遅くなりそう」と悩むランナーはけっこういるはずなんです。
普段のジョグペースよりも遅い「LSD」だと、どうしても心肺機能を鍛えることができないと思いがちですよね。
ただ、普段のジョグで漠然と「キロ5分~6分」で40分~60分走っているよりは、LSDで90分~180分走ったほうがかなり減量効果は高いです。
と言うのも、強度の高いジョグ以上のペースだと「脂肪」よりも「体内の糖質」がエネルギーとして使われるからなんです。
よく、トップランナーを中心に「カーボローディング」をするランナーは多いですが、あれはグリコーゲンの枯渇を防ぐためにフルマラソン前に「体内に糖質」を溜め込むことが目的。
ただマラソンペースとは違い、「LSD」のようなゆっくり長くのペースだと「体内の糖質」より「脂肪」をエネルギー源として活用することができるのが、LSD最大のメリット「痩せる」ということなんです。
サブ4~サブ3.5を目指すランナーこそ「LSD」をした方がいいのは
タイムが伸び悩み、目標の「サブ4」や「サブ3.5」を目指すランナーほど、スピード持久力に目が行きがちです。
「俺には(私には)スピードが足りない」
そう思うランナーも多いでしょうが、キロ5分のペースでフルマラソンの距離を完走というのであれば、スピードよりも「筋持久力」を養成したほうが近道です。
巷の雑誌では「インターバルトレーニングのススメ」などあるものの、要はフォームのダイナミックさを維持することができれば問題ないんです。
と言うのも、「LSD」はかなり遅いペースで走るトレーニング。
その人の走力にもよるものの、サブ3ランナーでもキロ7分、サブ3.5ランナーでキロ8分、サブ4を目指すランナーであれば歩くほどのスピードで「大腿四頭筋」、「ハムストリングス」、「臀筋」を鍛えることが目的になるピッチになることが問題に。
どうしても、「フォームが小さくなる」ということが懸念されるんです。
ただし、その「フォームの小ささ」は当日、あるいは翌日に解消できるもの。
- LSDをした後の「ウインドスプリント」でフォームを大きくする
- LSD翌日に5km~10kmのペース走をする
- ペース走の変わりに、200m流しを数本取り入れる
筆者もどちらかといえば「LSD不要論」ではあったものの、LSDの減量効果はかなり高いと感じるランナーも多いのでは?
特に、LSDで培われるのが「筋持久力」なんです。
LSDで「筋持久力」が培われる理由
理想を言えば、レースペースで30km以上を毎日走るのが「記録アップ」の近道でしょう。
ただ、それを実行する時間も体力も、故障のリスクも考慮すれば「LSD」というのは筋持久力アップでかなり効果的な面が多いんです。
- 足の接地時間が長くなることで、大腿四頭筋やハムストリングス、臀筋に負荷をかけることができる
- 体幹を意識して「腰高フォーム」を維持することで「フォーム矯正」になる
- 長時間、体を動かすことで「フルマラソンを走る時間」に耐性ができる
伸び悩むランナーは「スピード持久力」という言葉に惑わされるものの、基礎になるのは「筋持久力」。
また、ランナーとしての「軽い体」も長い時間、ゆっくり走ることで培われるはずです。
ランニングのLSDまとめ
「時間がない」だとか「月間走行距離」が気になるほど陥りやすいのが、「練習の距離」に縛られることです。
ただ、実際には「練習の内容」を意識したトレーニングが大切ですよね。
LSDの練習には賛否両論あるものの、サブ4~サブ3.5を狙うのであれば積極的に「LSDの練習」を取り入れてみてはいかがでしょう。
男性も女性も、「減量効果」は間違いなく感じることができるので、体重で悩んでいる人ほど「体感スピード」よりもゆっくり走るLSDを試してみてください。
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