ランニングで故障をしないコツと故障中のトレーニング方法まとめ
マラソンシーズンですが、「ランニング障害」で悩まれている方も多いでしょう。
“走れない”という状態まではいきませんが、筆者もシンスプリントを慢性化させているので、ある意味では「ランニング障害」をもっているともいえます。
故障しがちなランナーこそ、「故障をしないランナーになるには」と検索しそうなものですが、はたして何に気をつけていけば良いんでしょう?
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故障しがちなランナーほど「練習のしすぎ」であることが多い
ランナーが最も恐れる「腸脛靭帯炎」は別名、「ランナー膝」ともいいますよね。
実は筆者も初めてフルマラソンにチャレンジする2ヶ月前に腸脛靭帯炎を患い、ごまかしごまかし練習していた苦い思い出があります。
初めての市民マラソンとなった愛媛マラソンでは、「完歩」こそ出来たものの、膝はボロボロ。
それからちゃんと走り始めるまでに、数ヶ月かかった覚えがあります。
多くのランナーが故障する原因の一つに「練習のしすぎ」がありますが、要は“自分の筋力状態・フォームにあった適正練習量”のキャパシティをオーバーしていることが原因なんです。
トップランナーであれば、1000km/月走ることはめずらしくありませんが、これを筆者がやってしまえばスネどころか膝や腰まで死んでしまいます。
何より、職を失います。
要は、「練習が可能な能力の底上げ」こそが、故障をしないランナーになる秘訣とも言えるでしょう。
初心者ランナーに怪我が多い理由とは
初心者ランナーほど無理に走って故障を誘発しがちですが、これは“きちんとしたフォームで走ることができていない”ということが一つと、“筋力が不足している”という点。
そして何より、“体の使い方がニュートラルではない”という点です。
もちろん筆者も、この3つが不足しているからこそ、未だにスネを痛めやすいともいえます。
きちんとしたフォームで走ることは、効果的な改善は「誰かにフォームを正してもらう」ということが最も近道です。
今の筆者のように、「きれいに走れている」と思い込んでいても、客観的にブレブレな場合が多いです。
また、筋力が不足しているというのも、練習で培っていくことが大事。要は、走り込みの時間・経験を培っていかねばなりません。
ただ、初心者ランナーでも“体の使い方”はジョギングで意識することで大幅に改善できますし、フォーム適正化にもつながります。
故障をしないランナーになるためのジョギングの仕方
ジョギングをしているときに音楽を聴いている方、あるいは頭に浮かぶ事を楽しむ方、誰かと一緒に走ってお喋りに夢中になるというのも「楽しいジョギング」であるので否定はしません。
ただし、週に最低でも2回は、自分の体と向き合ったジョギングをおすすめします。
ジョギングをしているときに、今、自分の顎はどうなっているかから、くるぶしはどうなっているかまで意識すると、体に耳を向けたジョギングを可能にします。
顎は上がっていないか
顎が上がると、骨盤が後傾します。つまり、推進力を殺すことになります。膝にも大きなダメージが生まれやすいので、腸脛靭帯炎になる可能性も高まってしまいます。
肩に力は入っていないか
これは筆者の課題でもあるのですが、肩に力が入っていると腕振りがスムーズにいきません。スムーズな腕振りは、肩を脱力させて、“ウデを振らない”ということです。
(参考過去記事: 『速く走るためには腕振りで「腕を振らない」ことが重要だった』
脇はしまっているか
脇が開いていると、腕フリでの推進が前方ではなく、横に分散されてしまいます。腕振りのときに、自分の骨格にあった拳の握り方などを意識しましょう。
胸は張れているか
筆者は猫背なのでこれは自身の課題でもあるのですが、前傾姿勢を保っても胸が広がっていないと呼吸がスムーズにいきません。
腹筋に意識をおけているか
走りの要は「腹筋」です。腹筋を中心に、上半身のブレを抑えることで足へのダメージを減らすことが出来ます。つまり、腹筋を中心に体幹を鍛えることも、故障をしないランナーになることができる一歩です。
恥骨から下腹部は起き上がっているか
恥骨から丹田の位置は、状態を起こすために大事な部分。ここに意識がおけていないと、腰の落ちたフォームになり、足に大きな負担がかかります。なので、故障を誘発しやすくなります。
肩甲骨と背筋は柔らかく使えているか
肩甲骨は腕振りの起点です。そして、背筋は硬すぎても腹筋とうまく連動できないので、硬い上半身の動きで腰痛を誘発してしまう可能性が高くなります。
内転筋を使った走りができているか
ハムストリングスを使った走りも大事ですが、内転筋をいかに意識して走ることができるかで、膝下へのダメージを減らすことが出来ます。
筆者をふくめ、多くのランナーが内転筋を使った走りができていません。
着地が雑になっていないか
着地でいかに衝撃をなくすかということは、足首周りや足底筋膜炎といったランニング障害予防の一歩です。
シューズも大事ですが、着地が雑になっていないか意識してジョギングをすることも、故障予防には大事なんです。
これだけ意識する部分がジョギング時にはあり、ある意味ジョギングこそが「苦行」でもあり、「本当の練習」ともいえそうです。
故障中に無理にランニングすると将来がない
2017年1月にバイクに撥ねられて以降、満足にパフォーマンスを発揮できなかった筆者ですが、ツールの影響(ヴェイパーフライネクスト※参考記事『初心者が「ヴェイパーフライネクスト」を履きこなす走り方』)で、こっそりサブスリーしておりました。
医者にこっそり黙ってのタイムは、2時間57分02秒。
最後の2kmは、交通事故で痛めた箇所の痛み+足の痛みとの戦いで、ほぼ歩いてゴールしました。
さて、故障続きのスペランカーの筆者が断言したいのは、無理に故障中にランニングするのは、ランニング寿命を縮めるということです。
そもそも、痛いのになんで走るか?
それは、脳の影響が最も大きいです。
特に、自律神経を整えることに重きを置くランナーにとっては、「ランニング=生活の一部」なので、ランニングしないと他に体調を崩す可能性が高まります。おもに、セロトニンやノルアドレナリン、セロトニンが大きく関係しており、以下のような症状が出てきます。
- ランニングしていないとソワソワする
- ランニングしていないと肩こりがする
- ランニングしていないと、走力が落ちそうだから我慢して走る
- 日本人は根性! 甲子園球児を見習って、痛みに逆らって鍛えるのが美学
- 運動しないと翌日の体調に差し支える
ただし断言します。脳の欲求に逆らうと、体は壊れます。
たとえば、腸脛靭帯炎、重度のシンスプリント、歩けないほどの足底筋膜炎……
このような症状があるのに走ってしまうと、いくらいい整形外科医や接骨院にめぐりあっても、数年後に体が維持できる可能性は低いです。
だからこそ、故障中は走るのをやめて筋トレ+完全休養
近年、コロナウイルス感染症の蔓延もあって、娯楽自体が薄れています。だからこそ、ランニングやウォーキングを趣味にされている人も多いでしょう。
ただし、そんな中だからこそ多いのが、オーバートレーニングや独特なフォームによるトレーニングの故障率。
先に挙げた、腸脛靭帯炎やシンスプリント、足底筋膜炎はランニング故障あるあるで、人によっては基礎疾患があっても止めることができないなんて人もいます。
ランニング依存症の記事関連でも取り上げているように、ランニングは脳を刺激する運動なので、慣れてくるとランニングすること自体で脳内麻薬が出てくる仕組みになっています。先程の、セロトニンやノルアドレナリン、アドレナリンが手軽に得られるわけです。
その功罪は大きく、「故障しているけれども走らざるをえない」という人が多いのも事実です。でも、これはNG。
完全に体がターンオーバーするまでは、故障部位を完全休養させて、上半身の筋トレをする、あるいは完全休養という選択肢もありです。
筆者のように、体のあらゆる部位を痛めていてもできるのが、スポーツジムでのエアロバイクや水中歩行です。
また、負担にならない場所の筋トレで体の筋力を維持しましょう。
心肺機能に関しては、全力の20%をトレーニングで維持できれば大幅にパフォーマンスは落ちないというデータもあります。
故障していることを焦ること自体がNG
大前提の大前提で、もはや答なのがこれです。
「故障していることを焦るのがNG」
そもそも我々、市民ランナーは楽しむためにスポーツを始め、結果的にマラソンや駅伝、ランニングを楽しんでいるはずです。
そこに“商業性”があるのであれば違うアプローチが必要でしょうが、少なくとも、この記事を見ている97%は素人です。市民ランナーです。
故障していること自体を引け目に、無理やりトレーニングをすると待っているのが、故障の長期化です。
筆者は頚椎症を含め、腰と膝に疾患があります。このまま本格的に10年前のトレーニングを行えば、歩くこともできなくなるはずです。
でも、走ることが楽しいのは、ランナー歴が長い人ほどご存知のはず。筆者もそうです。
精神論にはなりますが、故障中に無理にランニングパフォーマンスを落としたくないと焦り、無理にトレーニングすること自体が、よりランニングパフォーマンスを落とすことは意識したほうが良いでしょう。
実はこれ、プロほど意識していることなんですよ。
ランニングブームの中、起こったコロナパンデミック。リモートワークをされている方も多い中、注目されているストレス解消法がランニングなのは言うまでもありません。
ただし上記に挙げたように……
故障中にランニングすると、パフォーマンス低下の恐れがある
故障中に焦るといいことはなく、走ることができなくなることもある
ということも多くある事例です。
故障中だからこそ「余裕」や「違うアプローチ」を探すことも大切なことです。
故障をしないランナーになるコツまとめ
ジョギングをするだけでも、これだけ意識をすることがありますが、走ることが好きなランナーやトップランナーは常に意識して行っているそうです。
音楽を聴いたランニングやジョギングはヒーリング効果はあっても、意識が音楽にいきがちです。
体全体を意識しながらのジョギングは難しいので、一つ一つ弱点を発見して解消していくというのも、「故障をしないランナー」への一歩となりそうですね。